白湯のブログ

若手(だと信じている)臨床検査技師が思ったこと・勉強したことをつらつら書くブログです。

社会人大学院制度について。

 

こんにちは、白湯です。

 

前回の記事では、大学を卒業してそのまま大学院に進学する場合について書いてみました。

 

saaaah-yu.hatenablog.com

 

今回は臨床検査技師として就職してから大学院を目指す、いわゆる社会人大学院制度について書いてみました。

また長くなっちゃいました……。笑

ただ私は社会人大学院の経験者ではないので、一般論的な話であることはご了承ください。

 

 

まず前提として、

仕事を辞めてから大学院に行くか?働きながら行くか?

が問題になるかと思います。

 

これは大学院に行く理由によるでしょう。

「大学院で取得した学位を活かして転職しよう」

と考えているなら、仕事を辞めて大学院に専念するのもアリだと思います。

 

もし、

「出来れば学位取得後も今の職場で働き続けたいけど、仕事と両立が出来なそうだから……」

という理由で退職しようと考えているなら、それはもったいない気がします。

施設によっては学位取得のための休職制度があるかもしれませんし、働きながらの学位取得を支援する制度もある(後述します)ので、それらを活用するのがいいと思います。

 

 

では、以下の項目に分けて説明します。

  • 大学院の教育課程
  • 大学院に入るためには
  • 仕事と大学院の両立
  • 論文博士」について

しばしお付き合いください。

 

 

 

【大学院の教育課程】

大学院というものに馴染みのない方もいると思いますので、まずは大学院の教育課程について説明します。

 

大学院には修士課程(博士前期課程)博士課程(博士前期課程)があります。

臨床検査技師と関わりが大きいのは医療技術系の大学院でしょうが、その場合はカッコ内の表記が多いかもしれません(本記事では分かりやすさのために修士課程・博士課程として説明します)。

 

修士課程は学士(大学卒業)を取得した者が、博士課程は修士を取得した者が入学するのが一般的です。但しそれらの過程を経なくても入学可能な場合があります(後述します)。

 

修士課程は2年、博士課程は3年が標準修業年数となっています。主に医師を対象とした医学系大学院の博士課程は4年になります。

 

 

【大学院に入るためには】

まずは入りたい研究室にアポイントを取りましょう。

大学院入試の際には受け入れ先の教授の了承が必須です。連絡もなしに「ここで研究したいです!」なんて言われても「誰やこいつ」で一蹴されちゃいます。

ついでに入試についてや入学してからのあれこれを相談しておくと良いでしょう。先のことがスムーズに進められると思います。

 

 

大学院の教育課程の説明で

「短大や専門学校卒だと大学院に入れないの?」

と思った方へ。

そうではありません

 

大学や修士課程を卒業(修了)していなくても、それと同等以上の学力を有すると認められれば受験が可能です。社会人としての経験を考慮してもらえます。

そのためには、願書を提出する前に「入学資格審査」を受ける必要があります。詳細は受験したい大学院の募集要項を参照してください。

 

余談ですが、この制度を利用(?)すると医師でなくても医学博士が取得できます。

医学系大学院の博士課程を修了し、学位が認められれば晴れて医学博士です。やったね!

世の中には医学博士の肩書きでトンデモなことを言う輩がいますが、医学博士=医師とは限らないのでご注意を。

医師免許持っててもトンデモな主張をする人もいますけどね。

 

 

願書を提出して受理されたらいざ入試です。

試験内容は大学院によるでしょうが、

  • 専門試験
  • 英語試験
  • 面接

といったところですかね。

過去問を公開しているところもあったり、英語試験の代わりにTOEICなどの外部機関のスコアを提出させるところもあるみたいです。

また、社会人としての経験を活かして試験科目が免除される場合もあるようです。

 

受験後は合格するか心配になると思います。

ですが、受け入れ先の教授の了承を得ていて、なおかつ受験人数が研究室のキャパ内に収まっているなら試験の成績が悪くてもほぼ大丈夫だと思います。笑

 

【仕事と大学院の両立】

働きながら大学院に通うとなると、研究に専念する時間がどうしても少なくなります。そのため、標準修業年数で学位を取得するのが難しい場合が多いと思います。

 

そんなときは「長期履修制度」を活用しましょう。これは標準修業年限の2倍の年数で履修できる制度になります。

基本的には願書提出の際に申請するみたいですが、途中から申請することも可能なようです。

 

この制度のポイントは履修期間が延びても支払う学費の総額は変わらないということです。

研究の進捗が順調で標準年数で修了できそうになったら短縮を申請することも可能です(その場合でも支払う学費の総額は変わらないようですが)。

また、優秀な業績を上げれば標準年数に満たない期間で修了することも可能です(これも申請が必要)。

仕事と両立しながらではなかなか難しいとは思いますけどね……参考までに。

 

 

次に実際の学生生活について。

 

座学は17時以降に開講される講義が多く、社会人学生が出席しやすい配慮がされていると思います。Web講義やe-learningを活用しているところもあるようです。

 

肝心の研究についてですが、これは研究テーマによって負担の大きさが違ってくるでしょうね。

 

患者さんの検査結果や臨床検体を利用するなど、仕事をしながらデータを集められる内容だと負担が少ないと思います。

 

逆に実験動物や細胞を扱ったり、がっつりラボで実験をしないといけない内容だと大変そうです。

終業後にラボに来て細胞のメンテや実験をして…となるとけっこうな負担になると思います。

ラボの人にお手伝いを頼んだり、休日にまとめて出来るような計画を立てる必要があるでしょう。

 

研究を進めるにあたっては、指導教官への進捗報告や相談が必須になってきます。

もし大学病院勤務で所属の大学院に行っているなら、仕事の空き時間に指導してもらえたりできそうですね。

そうでないなら終業後や休日、あるいはメールなどで指導をお願いする形になると思います。

 

 

【「論文博士」について】

論文博士」というものを聞いたことはあるでしょうか。

 

これは、大学院の博士(後期)課程に所属せず、論文の提出によって博士と同等以上の学力を有すると認められた者に博士の学位を授与する制度です。

職場で既にがっつり研究しているならこの制度を活用できるかもしれません。

 

この「論文博士」という制度は日本独自のものらしいですね。

文部科学省の大学院教育についての答申には、

我が国の学位の国際的な通用性,信頼性を確保していくことが極めて重要となってきていることなどを考慮すると,諸外国の学位制度と比較して我が国独特の論文博士については,将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている。

との記載がありました。

 

需要はまだあるようなのですぐに廃止されることはないでしょうが、今後は大学院に所属して学位取得を目指す形が一般的になるのでは、と思われます。

 

 

 

以上、つらつらと社会人大学院について書いてみました。

就職してから大学院を目指す理由は人それぞれでしょうが、いずれにしろ家族と職場の理解を得ることが大事だと思います。

お金と時間と労力を消費しますし、学生と違って色々なしがらみがありますからね……。

 

上述のように大学院の門戸は社会人に対しても開かれています。

自身のスキルアップのため・生涯学習の一環として、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?