白湯のブログ

若手(だと信じている)臨床検査技師が思ったこと・勉強したことをつらつら書くブログです。

臨床検査技師は大学院に行くべきか?

こんにちは、白湯です。

 

近年になって検査技師養成校は四年制大学が多くなりましたよね。

それに伴い、国立大学以外でも大学院を併設しているところが増えてきました。

 

大学院を併設している大学に所属しているなら、一度は候補に挙がるだろう

「大学院進学」 という選択肢。

進学と就職、どっちがいいのかな?と悩んでいる学生さんもいるでしょう。

 

 

また先に結論を言ってしまいます。

 

"普通に"臨床検査技師として働くなら大学院の学位は不要です。

 

では、大学院に行く【メリット】と【デメリット】に分けて私見を交えながら書いていこうと思います。

 

※注

今回の記事では学部からそのまま大学院に進学することを想定しています。社会人大学院制度については次の記事で書く予定です。

 

 

【大学院に行くメリット】

  • 検査技師として働く際に有用なスキルが得られる場合がある。

大学によっては大学院で細胞検査士コースがあるところもあります。

また研究室によっては臨床に近いことを研究テーマにしていて、そこで取り組んだことがすぐに仕事に活かせる場合があります。

私の知り合いで研究データを集める名目でエコーをしていた人がいて、その人は病院に就職して即戦力としてエコーをしています。

あとアルバイトとして検査技師の仕事をすることも出来ますね。

 

  • 臨床研究の手法を学べる

一応書いてみましたけどどうなんですかね?

ゴリゴリの基礎系ラボだったので正直よく分かりません。笑

大学院に行ってないけど学会発表や論文投稿をばんばんやってる技師さんもいますし、大学院じゃないと学べない、というわけではないと思います。

 

  • 就職に院卒の学位が必要な場合がある

一部の大学病院などには新卒はほぼ院卒しか採用しない、という施設もあるようです。

 

  • 出世に有利になる場合がある

大学病院だと技師長になるのに博士号が必要なところがあるみたいです。

出世に興味ないなら関係ないですね。

 

  • 検査技師以外の職種に就きやすい

前回の記事でも書きましたが、学部卒で企業就活をするのは至難の技です。

企業の新卒採用って大量にエントリーしてそのうち一つから内定を貰えれば御の字、って感じですので、実習や試験、卒業研究に追われる学部3、4年でそれをこなすのは大変だと思います。 

 

一方、大学院はスケジュールの自由度が大きいです。講義は週に1~2コマ、それ以外は研究です。

研究のスケジュールもある程度は学生の裁量に委ねられていて、やることちゃんとやっていれば就活で頻繁にいなくなっても許されていました (もちろんラボの雰囲気によるでしょうが……)。

 

また大学院に行くメリットはスケジュール面以外にもあって、

"理系院卒"という肩書があるだけでエントリーできる職種が広がる

んですよね。

製薬会社を例にすれば、

学部卒だと MR にしかエントリーできませんが、

理系院卒になるとMR以外の職種 (研究、開発、学術、etc.) にもエントリーが可能になります。

(ただエントリーが出来るってだけで、内定がもらえるかは個人の努力次第です)

 

  • 研究者としての道が開ける

修士→博士課程と進んで無事に博士号を取得できれば一人前の研究者の仲間入りです。

ラボにポストがあれば残るも良し、他大学や企業の研究職に就くも良し、一生をかけて研究に邁進しましょう☆

(一部の天才を除いては茨の道でしょうが……私は詳しくないのでこれ以上の発言は控えます)

 

  • 社会に出る時期を遅くできる

社会人になりたくないな〜〜まだ学生でいたい〜〜〜って人は合法的(?)にモラトリアムを延長できます。やったぜ!(?)

 

  • 「あのとき大学院に行っておけばよかった…」という後悔をしなくて済む

大学院がある大学だと教授陣がめっちゃ進学を推してくるじゃないですか。その言葉を聞いてると「大学院も良いかもな…」って思っちゃいますよね。

大学院に魅力を感じつつも断念した人は、そのもやもやを抱えながら仕事していくことになるのかもしれません。やった後悔よりやらなかった後悔の方が強い、って言いますしね。

そんな人のために社会人入学制度があります。これについては次の記事で書きます。

 

ちなみに教授陣が進学を推すのって自分のラボで研究を進めてくれる人手が欲しいから、ってのが大きいと思うんですよね。上手いこと成果が出ればラボの業績になりますから。所詮そんなもんです。

 

次に

【大学院にいくデメリット】

  • 学費が追加で必要になる

これはやむを得ないですね。奨学金や学費減免制度もありますが、少なからぬ出費は免れないでしょう。

 

  • 検査技師として就職しづらくなる可能性がある

社会人経験がない博士となると、専門性が高すぎて施設によっては敬遠されるかもしれません。修士なら影響は少ないと思いますが、院卒に馴染みのない施設だと「何でうちに?」と不審に思われるかもしれません。

 

  • 安定した収入を得られるのが遅くなる

学生のアルバイト収入と社会人の収入ってやはり全然違うんですよね。大学院にいる期間はそれがないと考えると痛いです。

施設によっては、初任給は国家資格を取った学校の種類で決めるなんてところもあります。大学院で頑張ったのに初任給は大卒と同じ、なんてやってられないですよね…。

 

  • 社会に出るのが周りと比べて遅くなる

検査技師として働きたいと思っているなら、学部卒の同期が職場で経験を積んでいっていることに焦りを覚えます。

臨床系ならまだしもゴリゴリの基礎系ラボだとね、

こんなことやったって検査技師の仕事には全然活かせないよ……わたし何やってるんだろう……

と、一時期病みました。笑

 

あと結婚や出産などを考えると頭が痛いですね。

「就職してすぐ結婚は嫌だから3年目くらいかな〜最初は二人の時間を大切にしたいし、子どもが出来る前に認定資格も取っておきたいな〜」

なんて言ってるとあっという間に30代になります。

20代のうちの2年間ってめちゃめちゃ大事だよな、って身にしみて思います……。

 

 

まとめます。

 

【大学院の学費】+【学部卒で就職していれば得られたであろう収入と経験】

上回るだけのメリットを見いだせるなら進学すれば良いでしょう。

逆にそれを見いだせないなら進学はオススメしません。

周りが進学するから、教授に勧められたから、で何となく進学するのは絶対に止めたほうが良いです。

 

 

また長くなってしまいました……笑

ご意見ご感想お待ちしております。

 

 

追記:

2020年時点での私の印象は上記の通りです。

しかし近年は医療職の高学歴化が進んでいますし、10年後には院卒の割合がもっと増えているかもしれませんね。