臨床検査技師の養成校、どこを選ぶか問題。
こんにちは、白湯です。
臨床検査技師になるためには臨床検査技師の養成校に入る必要がありますが、
「どの養成校を選ぶか?」
というのがとても悩ましいところですよね。
旧帝大から専門学校まで、臨床検査技師の養成校はよりどりみどりです。
日本臨床検査学教育協議会によると、養成校は全国に87校あるみたいです(19.6.12現在)。けっこう多いのね……。
選択肢としては
国公立大学 or 私立大学 or 短大・専門学校
といった形になるでしょうか。
結論から言います。
国家試験に合格して就職できればどこでも大して変わりません。
以下で詳しく述べていきます。
【金銭面】【カリキュラム】【就職支援】【国家試験対策】【卒後の進路】
に分けてお伝えします。
※注
筆者は国公立大学出身であり、国公立大学に関しては筆者の実体験に基づくバイアスがかかっている可能性があります。また国公立大学以外に関しては筆者の伝聞と推測に基づく記述であることはご了承ください。
【金銭面】
ざっくり書くと
国公立大学<短大・専門<私立大学
になりますかね。
※公立の専門学校もあるみたいですが少数派みたいです。
学費はもちろんですが、短大・専門や私大だと
再試験を受けるごとに追加料金を徴収される
との話を聞きます。
国公立大学では私の知る限り聞いたことがありません。
もちろん再試験にならなければ追加料金はかからないし、私大でも奨学金や特待生制度など学費の減免制度が使えるところがあるでしょう。個人の努力次第です。
あと短大・専門は1年早く卒業できるので、
大卒より早く収入を得られるようになる
というのはメリットですよね。
その代わりにカリキュラムの密度がすごいんでしょうけど……。
【カリキュラム】
個人的な印象ですが、私大や短大・専門は講師陣に現場を知る臨床検査技師が多く、より臨床に則した内容である気がします。
検査血液学会の学会誌に養成校紹介コーナーがあるのですが、紹介されている私大や専門学校は講師も設備も充実していて羨ましく思います。
一方の国公立大学ですが、講師陣は技師以外が多い印象です。しかも研究畑にどっぷり浸かってる人ばかりなので、臨床のことはあまり知らないんですよね。特に国立で顕著です。
学内実習では化石みたいな実験器具を使わされて、病院実習になってあまりの違いに衝撃を受けました。
【就職支援】
これは
私立大学&短大・専門>国公立大学
でしょうね。
前者は入学希望者へのアピールとして就職率を挙げているところが多いですから、実績を作るために手厚く支援するでしょう。
もしかしたら自分が希望しない施設への就職を斡旋されたりするかもしれませんが……詳しくは知りません。
後者、国公立大学は良くも悪くも学生の自主性に委ねられている印象です。支援はしてくれるんでしょうけど、どこまで目をかけてくれるかは大学によります。
偏差値が高いからって教授陣が学生のポテンシャルを過信してる節があるんですよね……。
【国家試験対策】
これも
私立大学&短大・専門>国公立大学
でしょう。
前者は国試合格率も売りにしてますから手厚く指導するでしょう。その代わり国試に受かる見込みがないと判断されたら容赦なく留年させられるみたいです。恐ろしや……。
後者は進級判定は比較的ゆるいですね。出席日数さえ足りてれば再試、再々試などを経て何だかんだ進級させてくれます。代わりに国試対策は学生の自主性に委ねられている部分が大きいです。
偏差値が高いからって(以下略)
【卒後の進路】
卒後に検査技師として就職する以外の進路を目指す場合ですが、これは個人のやる気と努力に依存しますね。
大学であれば大学院に進学する選択肢がありますが、専門の人だって大学編入から大学院に入ることは可能です。
検査技師以外の職種を目指す場合、いわゆる大企業を志望するなら残念ながら大学名の影響は避けられないでしょう。
中小企業であれば影響は減ると思います。
ただし、これは個人的な意見なんですが、
大学や専門の最終学年で企業就活するのめちゃめちゃ大変だと思うよ……??
企業就活って、エントリーシート書いてWebテストしてグループディスカッションした上で面接が複数回あったりするわけじゃん?企業によっては選考解禁前にインターンがあったりするし。
学校のカリキュラムにもよるけど、講義や実習の合間を縫ってこれをこなすのは大変だと思うわ……。
検査の大卒で大手製薬会社のMRになった人を1人知ってますが、マジでバケモンだと思いました。
すごく頑張れば企業就職も可能みたいです(小声)
ちなみに大学院だとカリキュラムの自由度が上がるので、院卒で企業就職を狙うというのもアリですね。もちろん検査技師として働いてから企業に転職する道もあります。
……ちょっと国公立大学をdisりすぎた気がするので、母校の名誉のために国公立大学の良い点を挙げてみますね。
【国公立大学の良い点】
- 学費が安い
これはもう書きましたね。
- 見聞を広げられる
国公立大学は医療系学部以外の学部が併設されてるところが多いため、一般教養科目が充実しています。
多感な学生時代に多方面の知識に触れられるのは貴重な体験だと思います。その後の人生を豊かにするための一助になるのではないかしら。
その道の専門家が語る歴史学や社会学はなかなか面白かったですよ。
- 最先端の研究に触れられる
これは大学によるでしょうが、私の母校は研究に力を入れていたので最先端の医学研究の世界を覗き見ることが出来ました。
卒業研究で研究室に配属され、そこでiPS細胞が普通に使われていることを知って「世紀の大発見と言われたiPS細胞が研究の世界ではもう常識なんだ!」と衝撃を受けたことを思い出します(2015年の話です)。
実験や文献検索をする中で「ニュースで取り上げられるような研究成果ってこういう営みの中で生まれるんだなぁ……」と思ったりしました。自分の中の世界が広がった体験でしたね。
と、ぐだぐだ書いてきましたけど、
現場で働く検査技師からすると
国家試験に合格して就職してきたのなら養成校がどこであろうと関係ない
というのが本音です。
出身校に関わらず、就職してからは純粋に働きぶりで評価されます。
偏差値の高い大学出身なら優秀な人材なんだろう、と考えることも出来ますが、「標準偏差」「外れ値」という概念を理解すればそう単純じゃないことは分かりますよね。もちろん逆も然りです。
要するに実際に働いてみてからが勝負です。
まとめます。
- 少しでも早く臨床検査技師として働き始めたいなら短大や専門学校 (ただしカリキュラムはタイトスケジュール)
- 費用を安く抑えたいなら国公立だが、学力的に難しいなら私立の学費減免制度を活用する
- 手厚いサポートが欲しいなら私立がおすすめ。自主的に頑張れる人で見聞を広げたいなら国公立がおすすめ
以上です。何かあればご指摘ください。
追記:
短大や専門学校だと四年制大学より初任給が安い施設が多いと思います。
ただし、働く期間が1年多いと考えるとトータルではあまり変わらないかもしれません。
検査技師の場合は昇給や出世に学歴はほぼ関係ないですからね。