白湯のブログ

若手(だと信じている)臨床検査技師が思ったこと・勉強したことをつらつら書くブログです。

認定血液の対策を真剣に考察する

 

こんにちは、白湯です。

 

このたび認定血液検査技師に合格しました。

Twitterで報告したところ試験対策について複数お問い合わせをいただきましたので、私なりの対策法をまとめてみます。 

あくまで私個人の考えですので、ご参考までに。

 

主な使用テキストは

スタンダード検査血液学

(以下「スタンダード」)

www.ishiyaku.co.jp

血液形態アトラス

(以下「アトラス」)

www.igaku-shoin.co.jp

です。

普段の業務にも有用な良著です。持っていて損はないでしょう。

 

試験は大きく3つのパートに分かれます。

  1. 専門知識試験
  2. 細胞識別試験
  3. 症例解析試験

1つずつ概要と対策を書いていきます。

 

 

【1. 専門知識試験】

いわゆる筆記試験。マークシート式。

「スタンダード」の巻末に過去問があるので、それを解いて分からない部分を本文で勉強するのが効率良いと思います。

ただし「スタンダード」掲載分で本番そのまま出題されたのは体感で2割くらいでした。

過去問になくても重要そうな部分は理解しておく必要があります。

検査血液学会誌に過去問が掲載してあることもあるので、そちらもチェックすると良いでしょう。

基礎固めとしては二級血液の過去問も有用でした。

 

【2. 細胞識別試験】

細胞の画像が提示されて名称を回答します。

基本的な細胞ばかりでしたので、変に深読みしなければ問題ないと思います。

ただし回答は手書きで、誤字脱字ひらがな表記は減点になります。正式名称を正しく書く練習はしておきましょう。

 

【3. 症例解析試験】

おそらく試験対策の需要が一番ありそうなパート。

標本の鏡検動画を見て①形態所見、②推測される疾患、③追加検査と予想される結果 を記述します。

動画のサンプルが「スタンダード」に掲載されていますので、事前に確認しておきましょう。

ただし私の受験時(2021年度)は動画ではなく、画像を印刷した冊子が各受験者に配られる形式でした。ラッキーでしたね。

 

対策は①→②、②→③の2段階に分けられます。

 

②→③は「スタンダード」や「アトラス」に記載してある疾患と検査所見を覚えればほぼ大丈夫だと思います。

表面マーカーや遺伝子染色体検査は押さえておきたいところですね。

問題形式から、形態所見(と多少のラボデータ)だけで疾患の推測ができるものしか出題されないはずなので、覚えるべき疾患は自ずと絞られてくるでしょう。

 

①→②に関してですが、普段から骨髄像の報告書を書いている人は業務の延長でどうにかなると思います。手書きで書く練習をしておけば後は大丈夫です。

 

骨髄検査や血液疾患の鏡検に馴染みのない人は、ここが一番ハードルが高いかもしれません。

そういう方はまず形態所見を言語化するトレーニンをしてみましょう。

たとえ疾患が分からなくても、形態所見が正確に記述できていれば部分点がもらえると思います。

また形態所見が取れるようになれば疾患ごとの形態学的特徴も理解出来てくるでしょうし。

 

レーニング法ですが、検査血液学会が配布している骨髄像報告書様式を使用すると良いです。認定骨髄検査技師試験用として学会サイトで公開されています。

標本があれば実際に鏡検しながら記入してみましょう。事前に症例提示のある研修会等を活用するのもアリですね。

ベックマンコールター社が公開している「血液形態自習塾」も有用かと思います。

 

①→②はどうしても経験値がものを言う部分になります。骨髄像や血液疾患の経験があまりない方は早めの対策をおすすめします。

 

とりあえず以上です。参考になれば幸いです。

受験される皆様の御健闘をお祈りしております。

二級&認定血液の合格体験記。という名のバタバタ珍道中

 

二級&認定血液をダブル受験して両方合格しました。いや〜しんどかった。笑

備忘録としてつらつらと書いていきます。試験の対策には役に立ちません。

 

 

そもそもダブル受験なんてするつもりなかったんですよ。

まずは二級を受けて基礎固めをして、翌年に余裕を持って認定を受けようと思ってたんです。その予定で昨年度の二級を申し込んでいました。

なのにコロナ禍で全部吹っ飛びました。

 

去年の二級が中止&今年度に振替になり、認定は来年にしようかと思いました。

でも出来れば今年受けたい……二級は例年8月くらいで認定は冬らへん(ガバガバ情報)でしょ?間空いてるし求められる知識の基本は変わらないから二級終わってから認定の勉強すればいけるか…?

と考えダブル受験を決意。

 

が、コロナ禍が落ち着かず二級の試験日程が後ろ倒しに。10月半ばとのこと。

 

ん〜〜〜でも認定は冬(?)だし大丈夫やろ?

てか認定試験の情報って何か出てるんかな、いつごろ受験要項アップします、的なw

 

と思って何気なく検査血液学会のサイトを見に行きました。

 

 

 

受  験  要  項  出  て  る

 

 

 

えぇ!?!?もう申し込み始まってる!?締切もうすぐやん!!てか単位足りる!?学会とかの参加証どこ!?!?えっ所属長のサインもいるの???

 

とバッタバタで申請書類を揃えて技師長のサインをもらってどうにか郵便局に出しました。間に合って本当に良かった。

 

 

ていうか受験要項の公開って学会サイト上にしれっと掲載するだけなんですね。会員にメールとか来るのかと思ってました。

学会誌にも掲載してありましたが、それが手元に届く頃には締切が過ぎていました。意味ないやん。

 

 

バッタバタで申し込んでから気付いたんですけど認定の試験日程が11月上旬。二級との間が3週間しかなかったんですよね。

 

 

えっ……11月上旬って冬じゃなくね……??

 

 

どうやら認定は例年これくらいらしい。私の情報がガバガバすぎました。

 

とは言えコロナ禍の状況によっては認定も後ろ倒しになるかも…そもそも今年応募者多そうだし受験資格もらえないかもしれんな…

と、うだうだ考えつつ二級の勉強をしていました。

 

 

ところで皆さま、「ウマ娘」ってご存知ですか。

実在の競走馬をモチーフにした「ウマ娘」を育成するソシャゲでして、アニメや漫画にもメディア展開されている一大コンテンツです。

それに夫がどハマりしておりまして、ウマ娘をきっかけにモチーフにされている競走馬たちの往年の名レース動画などを見せられておりました。

競馬とは無縁の生活を送っていましたが、何回も見せられると興味が湧いてくるものですね。

「競馬場ちょっと行ってみたいかも…」

と感じるようになりました。

 

 

3歳牝馬三冠の最後を飾るレースである秋華賞

 

二級試験の2日目がその開催日でした。

試験会場は大阪、秋華賞が開催されるのは阪神競馬場

試験日程は午前。15時半すぎの秋華賞には余裕で間に合います。

 

これは二級試験後に秋華賞観戦あるぞ!?

 

最近リアル競馬も熱くてですね、3歳馬がめちゃめちゃ強いんですよ。

その中でも屈指のアイドルホースがソダシで、綺麗な白毛の馬体もさることながら白毛馬で世界初のGIレース勝利を成し遂げたすごい馬です。

 

そのソダシが秋華賞に出るんです。

 

阪神競馬場の収容人数は8万人ですが、当時は観客上限を5,000人に絞っていました。

座席は全席抽選です。

 

これは倍率めちゃめちゃ高そうだ、ということで夫と私の二口で申し込みました。

まぁ厳しいかな〜当たればラッキーだよねw

という程度のノリでした。

 

 

当選しました。

 

 

マジで変な声出ました。倍率7.7倍。笑いが止まりませんでした。ちなみに夫は落選しました。 

しかも同じ日に認定の受験資格ありとの通知も届きました。別々に来てくれや心臓に悪い

 

秋華賞当選して以降、「私は7.7倍を勝ち抜いた女…」と妙な自信が湧きましたし、晴れやかな気持ちで秋華賞見たいからと勉強にも熱が入りました。ありがとうJRA(?)

 

 

認定の試験日程は延期の通知はなく、やはり中3週で戦わねばならないようです。

さすがに二級後にイチからやるのは厳しそうだったので、二級の合間に認定の勉強も進めました。

 

 

そんなこんなで二級試験。

7.7倍マジックの妙な自信のまま1日目を終え、久々のビジネスホテルにはしゃいで翌日の秋華賞に胸を踊らせながら眠りにつきました。

2日目の実技は自信がなかったですが、「大丈夫、私は7.7倍を勝ち抜いた女…」と言い聞かせながら臨みました。一番やりたくなかったPT用手法でパニックになりかけましたがギリギリ持ちこたえ、解散が宣言された瞬間に会場を出て一目散に阪神競馬場へ。

先に来ていた夫と合流しました。

 

 

競馬場って中に売店やらフードコートやら色んな施設があって、テーマパークみたいなんですよね。ぶらぶら歩いてるだけでかなり楽しかった。

パドックでお馬さん見るだけでテンション上がりまくり。

秋華賞の前にもレースがあって、それを見るのも楽しかった。やっぱり生で見ると全然違う。

そんな状態になっちゃったらね、そら馬券買うよね。笑

ソダシの単勝と、推し馬であるアカイトリノムスメの単勝

 

 

いざ秋華賞。胸を高鳴らせながら観戦。

 

 

ソダシは真っ白なので、私の貧弱な動体視力でもどこにいるのかすぐ分かる。

そのソダシが馬群に埋もれていく横で、ぐんぐん伸びる馬がいた。

接戦を制し、ゴール板を1番で駆け抜けたその馬の名は、アカイトリノムスメ。

4番人気、単勝オッズ8.9倍での勝利。

 

もうめちゃめちゃ興奮しました。

推し馬が勝ったのも嬉しいし、100円が890円に化けたんですよ??やばくない??

払い戻し機に勝ち馬券入れて、お金戻ってきたときにはニヤニヤが止まらなかった。

 

おかげで競馬にすっかりハマってしまい、ほぼ毎週順調にお金を減らしております。

お前のせいだぞアカイトリノムスメ、一生推すから責任取れ(?)

 

 

二級が終わったので認定の勉強に本腰を入れるわけですが、秋華賞マジックで誤魔化されていた不安がじわじわと襲ってきました。

まず実技試験が未知数すぎる…。追加検査って何書けばいいの?そもそも動画で所見なんて分かるかな…

それに筆記も難易度高い…こんなの初めて聞いたぞ…何これ…

 

と不安でいっぱいのまま試験を迎えました。前日はめちゃめちゃ腹の具合が悪く、試験中に腹痛が来ないことを祈りながら寝ました。

 

当日。会場入り。

受験者の年齢層が二級より高くて安心したのを覚えています。

座席が会場正面前方で、動画見やすそう!やった!と思いました。視力が不安だったので席ガチャが心配で…。

しかし今年度は会場の都合?で動画ではなく静止画を印刷したものを個人に配る形式でした。席ガチャ関係なくなって良かった。

 

試験は、もうなるようにしかならない、後は野となれが山となれ、と半ば開き直って受けました。

実際そこそこやれたような気はしましたね。

 

会場を後にし、帰りの電車で問題を復元しました。直後だとけっこう覚えているものです。

ぽちぽちスマホのメモ帳に打ち込みながら、

「これ有料noteにしたら結構売れるんじゃね??」

などと考えていました。

各方面から怒られそうなのでやりませんけど。

 

 

振り返ってみるとだいぶ行き当たりばったりですね。まぁ合格すればこっちのもんです。

とは言え中3週で試験を掛け持ちするのマジでしんどかった…。

計画的にコツコツ勉強を進められる人なら問題ないんでしょうけどね。もう二度とやりたくないです。

皆さま、試験勉強は計画的に。

見慣れない検査項目に新しい医療の風を感じた話。―NUDT15遺伝子多型検査―

 

個別化医療」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

個別化医療とは、一人ひとりの体質や病気のタイプに合わせた治療を行うことを言います。

従来の医療では、同じ病気と診断された患者さんには同じ治療が行われてきました。しかし、患者さんの体質や病気のタイプによって同じ治療法でも効果や副作用の現われ方に差があることが分かりました。

近年の研究により、こういった差異に関係する遺伝子などが次々と明らかになってきており、これらを標的とした検査も続々と登場しています。

その検査結果を受けて、効果がより高いと期待でき、副作用がより少ないと見込まれる薬や投与法を選択することが進んできています。*1

 

 

今回は個別化医療に関わる検査の一つであるNUDT15遺伝子多型検査について書いてみます。

 

Nudix hydrolase 15(NUDT15)は、チオプリン製剤という薬剤の代謝に関わる酵素の一つです。この薬剤は炎症性腸疾患(IBD)や急性リンパ性白血病(ALL)などの治療に広く用いられています。

 

日本人を含む東アジア人では、このチオプリン製剤を投与したあと早期に重篤な副作用(重度の白血球減少症や全身脱毛症など)を生じる場合があることが報告されていました。

近年、その重篤な副作用の発症とNUDT15の遺伝子多型との間に強い関連があることが発見されました。

 

NUDT15はチオプリン製剤の薬効を示す活性型分子の代謝に関与しており、その遺伝子多型により酵素活性が大きく変化します。

特にこの酵素の139番目のアミノ酸がアルギニンからシステインに変化する遺伝子多型を持つ場合、その酵素活性が著しく低下します。

そのため、139番目のアミノ酸システインホモとなる患者さんでは、チオプリン製剤の活性型分子の分解が抑制され、薬効が強く出すぎることで重篤な副作用を発症するリスクが高いことが報告されました。

この遺伝子多型を検出する検査法が開発されたことにより、チオプリン製剤投与時の重篤な副作用の発生を予測することが可能となりました。

 

日本人3,554人のゲノム解析をした研究結果によると、アルギニン→システインに変化するアリルが10.5%、アルギニン→ヒスチジンに変化するアリルが0.7%の頻度で確認されたそうです。

ただしこの頻度はヘテロの人も含むため、10人に1人がチオプリン製剤で重篤な副作用を来たすわけではありません。日本人でのシステインホモの割合は1%程度との報告があるそうです。*2

 

チオプリン製剤はIBDとALLに使用される、とのことですが、一見関係なさそうな疾患なのに同じ薬剤が使用されるのは面白いですね。

作用機序は核酸合成阻害だそうですが、名称から推測するに細胞内のプリン塩基と競合することで核酸合成を阻害するのでしょう。*3

 

NUDT15遺伝子codon139多型検査」は2019年2月から保険適用となっています。*4

私の職場でもチオプリン製剤投与後に強烈な骨髄毒性が生じたALLの患者さんがいて、この検査でシステインホモであることが分かった事例がありました。

これ以降、この患者さんは標準投与量から減量して投与をすることになり、以前ほど深刻な副作用が発生することはなくなったようです。

この検査の導入により、従来では経験的に行われていた治療方針の変更が根拠を持って行えるようになったわけですね。まさにEvidence based medicineを体現しているなぁ、と医学の進歩を感じました。

 

 

NUDT15遺伝子多型検査。今まで馴染みのない検査でしたが、深掘りすることで新しい医療の風を感じることが出来ました。

個別化医療がどんどん進歩していくことで、将来的には個人の全ゲノム解析により"完全オーダーメイド"な医療を提供する時代になるかもしれませんね。

 

以上、白湯でした。

 

 

*1:個別化医療については中外製薬のサイトが分かりやすい。CMで「遺伝子」を全面に出しているだけある。

*2:参考:

チオプリン製剤の重篤な副作用の予測に有用であるNUDT15 Arg139Cys遺伝子多型を検出する世界初の体外診断用医薬品(MEBRIGHT NUDT15 キット)の開発に成功 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

*3:これは私見ですが、おそらくこの製剤は適切に投与量を調節することで白血球、特にリンパ球に強く作用するのかな、と思いました。なのでリンパ球増殖阻害によりALLに、リンパ球の機能低下→免疫抑制によりIBDに効果を示すのかしら、と勝手に納得しました。薬理学は完全に素人ですので詳しいことは分かりませんが…。

*4:2019年2月時点では難治性のIBD、ALLおよび治療抵抗性のリウマチ性疾患のみの適用でしたが、2019年11月からは自己免疫性肝疾患も適用となったようです。参考:

NUDT15遺伝子検査が自己免疫性肝炎に対して保険適用になりました|難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究|厚生労働省難治性疾患政策研究事業

国試勉強の思い出を語る②

 

こんにちは、白湯です。

前回の①から続きます。


国試勉強の思い出を語る① - 白湯のブログ

 

 

勉強に使ったのは過去問6年分+大学で受けた模試3回分です。

6年、と半端なのは、テキストを早めに買っちゃったので前年度分が載ってなかったんですよね。なので前年度分を厚労省のサイトから落としたのでこうなりました。

5年分でも普通に大丈夫だと思います。

 

使用したテキストは医歯薬の問題集。あの鈍器みたいな厚さのやつ。

実際に使ったのは巻末の過去問だけでしたね。苦手分野の追加演習のために分野ごとにまとまってるところも少しやってみたんですが、10年前ってなると出題傾向も違うからあんまり……って思って止めました。

付属のCDは暇つぶしには良いかも、って感じでした。今はもっと良いアプリとかありそう。知らんけど。

 

医歯薬と似たようなテキストで金原出版のもありますね。あれは巻末にオリジナルの模試がついてるのかな?

それをやった友人が「あれ絶対解答間違ってるって!!」と怒ってたのを思い出します。自信持ってそう言い切れるくらい勉強できてると良いですよね。

 

過去問5年分+模試の繰り返しだと、終盤は全部解き終わっても時間が余りました。そうなっても私は絶対に新しい問題に手を付けませんでした。この時期に新しい問題を解いて撃沈するとメンタルやばくなりそうだったので、ひたすら同じ問題を反復してました。

国試直前はメンタルと体調を維持するのが大事かな、と思います。

 

あと勉強に飽きたら試験会場の下見に行きましたね。学校単位でバスで連行されるなら問題ないでしょうが、自力で行くなら下見しとくといいかもしれません。

公共交通機関のアクセスが微妙なところなら事前にタクシーを手配しておくと安心です。複数人で乗ればそんなに高くならないと思います。

でないと自転車で1時間かけて向かうことになるので……(体験談)。当日晴れてて本当に良かった。

私が自転車爆漕ぎしてるのを友人がタクシーから目撃したらしく、会場入りしたら爆笑されたのも良い思い出です。

 

国試が終わった後の打ち上げはめちゃめちゃ楽しかったですね。懐かしいな。

今年の子たちはオンライン打ち上げになるのかな?国試から解放された後に飲む酒は美味いぞ。みんなも笑って酒飲めると良いな。

 

 

以上、ただの思い出話でした。

国試勉強の思い出を語る①

 

こんにちは、白湯です。

 

私が国家試験を受けたのは5年前くらい?になりますかね。昔を懐かしんで思い出を語っていこうと思います。

 

本格的に勉強を開始したのは卒業研究が終わった11月末からでした。

大学に行くこともほぼなくなった中で私が意識したのは「生活リズムを変えないこと」でした。

卒研時のラボの拘束時間が9-17時だったので、その時間は大学の図書館にこもって勉強するようにしてました。毎日夕飯前までは図書館にいましたね。

その代わり帰宅してからはあまり勉強しませんでした。家だと集中して勉強できないと分かっていたので、図書館にいる間はガリガリ勉強して、家ではリラックスすることにしていました。

勉強スタイルは人によりけりですけどね。あくまで私の場合です。

 

昼は卒研時の(卒後の進学先でもある)ラボのミーティングルームで食べてました。卒研の頃からラボの秘書さんとそこでお昼を食べていたので、卒研終了後もお邪魔させてもらってました。

秘書さんと世間話しながらヒ○ナンデス!→朝ドラ再放送を見るのが勉強の合間の癒しでしたね。

ちなみにその当時やってた朝ドラの「マッサン」がめちゃめちゃ良作でした。ぜひ見てみてください。

 

国試勉強シーズンになると図書館が混んでくるので、席を確保するためにも朝から活動してました。

この階のこの辺りの席!って決めて通ってると、周りの人たちも同じような顔ぶればかりになって、勝手に連帯感を抱いてました。笑

しかし2月になって医師や看護師の国試が終わると、図書館が一気に閑散とするんですよね。

よく見た人たちの姿も消えて、悲しいやら羨ましいやら……複雑な思いを抱えながら机に向かっていました。笑

 

このコロナ禍では図書館の利用状況も変更されてるんでしょうか?

密にならないように利用できる机を減らして、とかになると熾烈な席取りバトルをする必要が出てきそうですね。

ロビーのテーブルでお互い教え合いながら勉強してる人たちもいましたが、そういう利用は難しそう。誰かと一緒に勉強したい人には痛手になりそうです。

カフェで勉強、とかもやりにくいだろうし、家で勉強できない族には厳しい状況ですね。

世知辛い……。

 

存外に長くなりました。

②に続きます。


国試勉強の思い出を語る② - 白湯のブログ

 

Web学会に参加してみて

 

コロナ禍で学会が軒並みWeb開催になっていますね。

私もWeb学会に参加しましたが、こういう形式は初めてで新鮮でした。

実際に参加してみての感想を踏まえて、私が感じたWeb学会のメリット・デメリットについて書いてみます。

 

 

まずメリット。

 

  • 必要経費が少なくて済む

遠方での開催になると交通費・宿泊費などかかかります。毎回全て職場が出してくれる、というところは少ないのではないでしょうか。

その点、Web学会なら自宅から参加できますので、参加費だけで済みます。スマホがあれば視聴できますしね。WiFiがないと通信料が増えちゃうかもしれませんが……。

 

  • 自宅などで気楽に参加できる

自分の快適な環境で参加できるので余計なストレスを感じずに済みます。慣れないパンプスでの靴ずれに苦しむこともないし、強すぎる冷房に震えることもありません。

 

  • 双方向型のセッションをやりやすい

現地開催だと一方的に話を聞くだけ、という人が多いと思います(ガンガン質問できる人は除きます)。

Web開催だとリアルタイムで質問を募ったり、アンケート形式で演者の質問に答えさせたりすることが可能です。

一方的に聞いてるだけ、よりは集中して聞くことが出来て良かったですね。

 

  • オンデマンド配信がある

現地開催だと人気のセッションが満員で入れなかったり、見たいセッションの時間が重なって泣く泣く片方を捨てることになったりしていました。

Web学会なら会場に入れないことはほぼないし、重なっていたセッションも後日オンデマンド配信で視聴可能なことが多いようです。

当日は忙しくて参加できない、という人にもオンデマンド配信はありがたいですね。

 

 

次はデメリット。

 

  • 自宅なので集中できない

気楽に参加できる反面、だらけてしまって集中できない部分はあります。

ベッドに横になりながらとかだとね、もう駄目だよね……。笑

現地開催でも寝るときは寝るんですけど。

お子さんがいる家庭だとお子さんの面倒も見ないといけないでしょうから、学会だけに集中することは尚更難しいと思います。

 

  • 書籍コーナーの物色が出来ない

臨床検査系の書籍って町の本屋だとあまり置いてないじゃないですか。

なので学会の書籍コーナーがめちゃめちゃありがたかったんですよね。私は購入前に手に取って中身を見たい勢なので尚更でした。

今まで知らなかった書籍と運命の出会いをすることもしばしば。ネットだと存在を知らない本を探し当てるのは難しいですから。

 

  • 学会という名目での遠出が出来ない

学会に行く目的のメインってこれじゃないですか??

県外の知り合いと再会したり、フォロワーさんとオフ会したり、夜は現地の美味しいもの食べてお土産を物色したりするのが楽しいんですよ。

それが出来ない学会なんて……うっ(号泣)

 

 

最後取り乱しました。失礼しました。

パッと思い付くあたりだとこんな感じでしょうか。

 

Web学会にも良い点は多いので、コロナ禍が落ち着いても実施してほしいなと思います。

遠方はWebで、近場は現地で、と言った使い分けが出来ると良いですね。学会の単位が稼ぎやすくなります。

 

何はともあれ、まずは新型コロナウイルス感染症が早く終息することを祈ります。

 

あぷらぷらぷら。

今回は再生不良性貧血(aplastic anemia : AA)についてです。

 

職場だと「あぷら」って略すんですけど、響きが可愛くてつい口に出したくなってしまいます。

そういや"aplastic"ってどういう意味なんだろう?

と調べてみたら"再生不良性の"って出てきて「嘘つけ!」って思いました。

おそらく、

a-("否定"の接頭辞)

+ plastic("形を作る、形成力のある"という意味があるそうです)

ってことなんでしょう。

 

 

さて本題です。

 

AAは末梢血の汎血球減少と骨髄の細胞密度の低下(低形成)を特徴とする症候群です。

上記の特徴を有する疾患は数多くあるため、基本的には他疾患の除外により診断されます。

低形成MDSとの鑑別はしばしば問題になりますよね。

 

AAは何らかの理由で造血幹細胞が減少することで発症するとされています。

その理由によって先天性や薬剤性などに分けられますが、今回は 特発性 に限定して書いていきます(日本でのAAは大部分が特発性とのこと)。

 

 

「特発性」というのは要するに「原因不明」ということです。

特発性AAで造血幹細胞が減少する機序として考えられているのは主に次の2つです。

  1. 造血幹細胞自身の質的異常
  2. 免疫学的機序による造血幹細胞の傷害

 

免疫学的機序による場合は免疫抑制療法が奏功しますので、機序の推測が出来ると治療方針を決める一助となります。

 

そのために利用されるのが

微小PNH型血球の検出

です。

 

 

PNH型血球は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)で増加するGPIアンカー膜蛋白欠損血球です。

フローサイトメトリーでCD59(-)CD55(-)血球として検出されます。

 

高感度フローサイトメトリーを用いると、健常者でのPNH型血球の割合は顆粒球で0.003%未満、赤血球で0.005%未満になります。

これを用いてAA患者の末梢血を分析すると約半数でこの閾値以上のPNH型血球が検出され、その場合は免疫抑制療法に対する反応が良いことが知られています。

 

 

ここでこう思った方もいるでしょう。

「PNH型血球が増えてると免疫抑制療法が効く、ということは免疫学的機序によるってことだよね。だとしても何でPNH型血球が増えるの?自己免疫とPNH関係なくね??」

 

 

実はPNH型血球って健常者でもごくわずかに存在してるらしいんですね(上記の閾値未満)。

これはPNH型造血幹細胞に由来するものです。

免疫学的機序の場合は造血幹細胞が免疫学的攻撃を受けますが、PNH型造血幹細胞は何らかの理由でその攻撃から免れられると考えられています。

その結果、正常型造血幹細胞が分化できない一方でPNH型造血幹細胞は分化を進めることが出来るわけです。

つまり「PNH型血球が増える」と言うよりは「正常型血球が減ることでPNH型血球の割合が相対的に増える」と理解した方が良いでしょう。

 

 

ちなみに染色体検査でdel(13q)単独陽性の場合はPNH型血球が全例で陽性であり、正常核型よりも免疫抑制療法の反応性が高いそうです。

その他にAAで頻度の高い染色体異常は8トリソミー、7番染色体の異常、6番染色体の異常などです。

このうち7番染色体異常ではAMLに移行するリスクが高いです(7番染色体異常はMDSでも予後不良因子ですよね)。この場合の発症機序は造血幹細胞の質的異常によるものと思われます。異常クローンが少ないうちに早急に造血幹細胞移植を行う必要があります。

 

 

AAの中にはPNHに移行する症例もあるそうで、これは免疫学的攻撃から逃れられたPNH型造血幹細胞がクローン性に増殖することで発症すると考えられています。

またMDSの中にも微小PNH型血球が検出される症例があるようで、その場合も免疫抑制療法の効果が出やすいそうです。

PNH型血球って奥が深いですね……。

これ以上つっこむと私の理解を超えてしまうので、ひとまずこの辺で止めておきます。

 

 

今回の参考資料は

再生不良性貧血診療の参照ガイド 2018年改訂」

です。

こちらからPDFに飛べます。

http://zoketsushogaihan.com/download.html

とても勉強になったので興味のある方は是非。

 

 

最後に余談ですが、この診療ガイドの筆頭著者である金沢大学の中尾眞二先生は再生不良性貧血の大家だそうで、今回の検査血液学会でもAAについての特別講演をしてくださるようですね。楽しみです。

できれば現地でお聞きしたかったですけど……オンデマンド配信でゆっくり聞けるので良しとします。

 

 

今回は以上です。

参考になれば幸いです。